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2011年01月06日

バンナの森とヒトの幸せな未来について ~子どもたちのために~

谷崎先生から、島の子供たちに手紙が届きました。

昨年末にこのブログに載せた記事「バンナの森とヒトの幸せな未来について」、
もっとわかりやすく、子どもたちにも伝わるようにと、
書き直してくださったのです。

山わらばーのみんな、山わらばー候補のみんな、
お父さん、お母さんと一緒に読んでみてねチョキ

森とヒトの幸せな未来について、夢や思いを描きながら、
ご家族でバンナ公園を散歩してみてはいかがでしょうニコニコピカピカ



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ふたば バンナの森とヒトの幸せな未来について ~子どもたちのために~ ふたば

石垣島自然観察の会会長 谷崎樹生



「大きくなったら何になりたい?」と、大人は子供によく言いますが、
大事なことは何かになることではなく、どのように育ち、どんな生き方をするかだと思います。
世の中にはいろんな人がいます。
ノーベル賞や金メダルをもらう人もいれば、人をだましたり殺したり、ひどいことをする人もいますね。
そんな人のニュースを聞くたびに「いったいどんな風に育つとあんな人になるんだろう?」と考えてしまいます。

今の姿は過去の結果ですから、未来を考えるためには、過去を知ることが大切なんです。

幼稚園の頃から遠足でおなじみのバンナ公園ですが、公園ができる前のバンナ岳は、
いったいどんな森だったのでしょう?キョロキョロ
バンナの森とヒトの幸せな未来について考えるために昔のバンナについて説明しておきましょう。

バンナの森とヒトの幸せな未来について ~子どもたちのために~アミヒカリタケ

皆さんのおうちではどんなエネルギーを使っていますか?
家庭で使うエネルギーというとプロパンガスか灯油か電気ですね。
なかにはオール電化でガスも灯油も使っていないおうちもあるでしょう。
ところが、50年ほど前は薪と炭がほとんどで、電気を使うのは電灯とラジオぐらいでした。

その頃までは、バンナの森は薪を採ったり炭を焼くために利用されていたのです。
当時の島の風景写真を見ると、カラ岳のような禿げ山がたくさんあって、驚くほど木が少なく、
遠くの方まで見通しが良くて地形もクッキリよくわかります。
道ばたの雑草や雑木でさえ家畜の餌や薪にするためにこまめに刈り取られていた時代です。

バンナ岳の森の中には今でもたくさんの炭焼き窯の跡が残っています。炎
根もとから枝分かれしている大きな木は何十年も前に切り倒された切り株から芽が出て育ったものです。
そんなことからも昔の人がどれほど森の恵みに頼って暮らしていたかがわかります。ふたば

バンナの森とヒトの幸せな未来について ~子どもたちのために~アリサンミズ

当時のバンナ岳や前勢岳の南斜面はまるで今の平久保半島の東側のような禿げ山で、
チガヤやススキの草原になっていました。
これは麓の農地の畦焼きの火が山に上がってしまって山火事がよく起こったからでした。

50年前というと昭和30年代ですが、その頃の森は木が切られすぎ、
焼かれすぎて疲れ果てていたようです。
そんな島の森の危機を救ったのがエネルギー革命でした。
家庭用燃料としてプロパンガスが普及すると、
薪や炭の消費量が激減しておかげで島の森は救われました。(その代わりエネルギーを島の外から運んでこないといけなくなってしまった訳です。)

エネルギー革命と同時に、島では植林が盛んに行われるようになりました。
リュウキュウマツやクスノキ、ユーカリ、モクマオウなど、
いろんな種類の木が禿げ山に植えられていきました。
今でも山のあちこちに濃い緑色のリュウキュウマツがたくさん生えている所は当時植林された場所です。
ところが、苗木は植えたものの、その後の管理が充分になされず、木を切りだして使うあてもなく、間伐もされずにモヤシのように育ってしまった松林では、台風のたびにドンドン木が枯れています。
せっかく何十年もかかって育った木が、何にも使われずに土に戻っていくというのはもったいない話ですね。

木は太陽の缶詰です。晴れ
植物は太陽の光エネルギーを使って水と二酸化炭素から有機物を作ります。
光エネルギーが化学エネルギーに変えられて保存されているのです。
薪を燃やせば、太陽の缶詰が開けられ化学エネルギーが熱エネルギーになって飛び出してきます。

今、島中で立ち枯れていくリュウキュウマツやモクマオウが、何十年かかかって蓄えた化学エネルギーを無駄に捨ててしまうのは、なんとももったいないと思うのです。

バンナ岳の森の中の谷底の道を登っていくと、
森の土の中から染み出した水が集まって川が生まれる瞬間を見ることができます。
森は川の母でもあるのです。ピカピカ


森はエネルギーを作り蓄え、
島の水を守ってくれるかけがえのない島の宝です。
先人達の経験と失敗に学び、新しい知識と技術を活かして、
森とヒトがいっしょに幸せになれる未来を探したいものです。


バンナの森とヒトの幸せな未来について ~子どもたちのために~


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※八重山毎日新聞の新年号に海森学校制作の記事「お山に行こうよ!」が掲載されました。
(見てみてね!ピース
その中で、この谷崎先生の文章を掲載したのですが、最後の肝心カナメの一文、
「森はエネルギーを作り蓄え、島の水を守ってくれるかけがえない島の宝です。先人達の経験と失敗に学び、新しい知識と技術を活かして、森とヒトがいっしょに幸せになれる未来を探したいものです。」
が抜けてしまっていました。(谷崎先生ゴメンナサイ!)

“幻の名文”を、ぜひ心に書き留めておいてくださいねピカピカ



バンナの森とヒトの幸せな未来について ~子どもたちのために~

バンナ岳の守り主「アカギのおじい」



よつば写真:普天間康宗(海森学校事務局)


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Posted by 石垣島海森学校 at 16:06│Comments(0)ブログ
 
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