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2010年03月10日

ご無沙汰しております。

海森学校のブログを楽しみにお待ち頂いていた皆様、ご無沙汰しております。ガ-ン

新年のご挨拶から放置状態のブログが、やっと長い冬眠から目覚めましたキラキラ 

正木校長は、大東島への訪島やら、スタッフは引っ越しやらでドタドタばたばたぶーん

今後もワクワクどきどきの楽しい学校を開催していきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。



「うりずん」と「若夏」   
                 

沖縄の古語で、とりわけ美しい季節感を持つことばとしては、

『おもろさうし』に出てくる「おれづむ」と「わかなつ」であろう。

「おれずむ」は、「うりずん」とも音韻変化するが、

その響きには、みずみずしく若々しい季節の訪れが感じられる。

「うりずん」、「わかなつ」は、陽春とか初夏などとは、いいかえることのできない沖縄特有のことばである。

このころに吹く風や雲の形、気温や湿度、太陽高度の違いによる光の強さなどにも、

本土の春や初夏のころとは大きな差異があり、時期的にも感覚的にも、かなりのずれがあるからである。




八重山の古謡などでは、ウルズン・バガナツと対語あるいは同義語として使われているが、

沖縄の古辞書『混効験集』によれば、



「わかおれつみ」 二三月麦の穂出る比(ころ)を云

「わか夏」    四五月穂出る比を云



と記されており、はっきりとその時節が区分されている。

いまの暦に直すと、うりずん(わかおれつみ)とは、

二月下旬の雨水のころから四月中旬の清明の節までの期間。


わかなつとは、四月下旬の穀雨から六月中旬の芒種の節までと見てよいだろう。

そのあとは夏至に入り、本格的な酷暑が続くようになる。



うりずんの語源について、外間守善先生はつぎのように述べておられる。

―《「うりずん」は潤うの意の「うり」と、浸みとおるの意の「ずん」(じみ)とが複合してできた語で、

降雨が土に潤い浸みることを原意にした語であるが、

特に、旧暦二三月頃の季節を指していうようになったものである。》―    


(『沖縄文化研究Ⅲ』・法政大学沖縄文化研究会)



 「うりずん」・「わかなつ」とは、沖縄の短い冬から長い盛夏に移り変わっていく季節である。

北東季節風に吹きさらされ、疲れたままの姿で冬を越してきた野山の草木は、

二月下旬の雨水のころからは、寒気の吹き出しの合間を縫って吹く南風で、一斉に新芽を吹き出す。

とくに福木やヤラブの若芽は適度な湿りと暖かい南風に育まれ、

柔らかく鮮やかな緑となる。

山々の椎や樫などの新芽も美しい。

「うりずん」とは、このように木々ばかりでなく、

万物がうるおい生成され、発展していく季節である。

また、「わかなつ」には、「うりずん」に芽吹いた草木が、

ぐんぐんと緑を濃くし、すべてのものの体内には、

やがてやってくる台風にも、盛夏の強烈な日射にも耐え得るエネルギーが蓄えられていく。



このような活力に満ち、溌剌とした生命力を保持している

すばらしい沖縄の季語を大事にしていきたいものである。

日本の標準語は、いままでに絶えず地方の方言によって生命力が注入され、

新鮮さを保ってきたといわれる。

「うりずん」や「若夏」ということばも、

まず私達が俳句の季語として多用することによって県民に浸透し、

次第に本土に波及して標準語化していくであろう。

うりずんや若夏が国語辞典に載る日は近い。


ご無沙汰しております。



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Posted by 石垣島海森学校 at 14:40│Comments(0)海森学校校長室より
 
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